2014年01月08日 09時51分
一般社団法人GOLD日本委員会

COPDの認知度、初めて30%を超える。昨年同時期に比べて2.4ポイント上昇し、30.5%(2013年12月)に。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関する正しい知識の普及を通じて国民の健康増進に寄与することを目的として活動する、一般社団法人GOLD日本委員会(代表理事: 福地義之助、順天堂大学医学部 呼吸器内科 客員教授)は、2013年12月に、20代以上の男女10,000人を対象にインターネットによるCOPD認知度把握調査を実施しました。
その結果、COPDについて「どんな病気かよく知っている」「名前を聞いたことがある」と答えた人の割合はそれぞれ9.1%(905/10,000人)、21.4%(2,142/10,000人)で、この2つを合わせたCOPDの認知度は30.5%と2009年に調査を開始して以来、初めて30%を超えました。
この認知度把握調査は、GOLD日本委員会が2009年から毎年1回12月に行っているものです(2009年のみ、7月と12月の2回実施)。2009年から2010年にかけての3回の調査では、COPDの認知度は17%台で変化が見られませんでしたが、2011年には25.2%、2012年には28.1%と上昇し、2013年にはさらに2.4ポイント伸びて30.5%になりました。
COPDは、喫煙等の刺激による肺の慢性的な炎症反応を基本病態とする呼吸器疾患です。日本人男性の死亡原因の第8位となっているこの疾患は、重症化すると患者の日常生活に著しい障害をもたらします。できるだけ早期に発見して重症化を防ぐ治療を始めることが重要であると言われていますが、早期診断は進んでいません。この背景には、COPDに対する社会的な認知度が低いことが問題とされています。
こうした中、厚生労働省は一昨年7月に「21世紀における第二次国民健康づくり運動(健康日本21(第二次))」の中で、COPDの認知度をメタボリックシンドローム並みに上昇させること(2011年12月に25.1%であった国民の認知度を2022年度までに80%にする)を目標として掲げ、国を挙げてCOPDの認知度向上に取り組む方針を示しています。
この結果について、GOLD日本委員会 代表理事の福地義之助医師は次のように述べています。
「COPDの認知度が初めて30%を超えました。健康日本21(第二次)の目標である80%にはまだ遠いものの、この2年間で5ポイントの上昇がみられたのは喜ばしいことです。この背景には、COPD啓発プロジェクト*によるメディア・キャンペーンの影響も大きいと考えます。一方、今後期待されるのが、健康日本21(第二次)の方針のもと、COPDを住民の健康寿命に対する脅威と認識し、地域での啓発を進める自治体の取り組みです。昨年、GOLD日本委員会では、自治体の健康政策担当者などを対象としたCOPDの講習会を東京都、静岡県、神奈川県、栃木県で実施し、今年1~3月にも宮城県、群馬県、岐阜県、福岡県などで実施予定です。まずは健康政策の要となる自治体の方々にCOPDの問題を知っていただき、高い意識を持って啓発活動に取り組んでいただくことが持続的な認知度向上のために重要と考えているからです。このほかにも啓発資材のサポートなどで自治体のCOPD啓発活動を支援することで健康日本21(第二次)の目標達成に一歩ずつ近づき、COPDの予防と早期診断、適正な治療の実現につなげたいと考えています」。
* COPD啓発プロジェクト: 日本COPD対策推進会議(日本医師会、日本呼吸器学会、結核予防会、日本呼吸ケア・リハビリテーション学会)、GOLD日本委員会、日本医学会が後援して2012年10月に発足したプロジェクトで、新聞、テレビ等のマス・メディアを活用した継続的なCOPDの啓発活動をめざしている。

<結果の概要>
・2013年12月のCOPD認知度は30.5%でした。
・2013年のCOPDの認知度は、昨年同時期調査結果と比べて2.4ポイント上昇しました。
※このほかの調査結果については、添付の「2013年COPD認知度把握調査結果報告書」をご参照ください。

<調査の概要>
方法: インターネット調査
●予備調査(認知度調査)
期間: 2013.12.16(1日間)
対象: マクロミル社調査パネルの中から性(男・女)、年代(20代・30代・40代・50代・60歳以上)別に1,000人ずつを均等ランダム抽出した10,000人
質問: Q1. あなたはCOPD(シー・オー・ピー・ディー)という病気を知っていますか?
Q2. あなたは「肺年齢」の検査について知っていますか?
Q3. 「COPDの早期発見に肺年齢の検査が有効である」と言われていることを知っていますか?
●本調査(認知状況詳細調査)
期間: 2013.12.17-18(約24時間)
対象: 予備調査でCOPDが「どんな病気かよく知っている」と回答した人の中から性(男・女)、年代(20代・30代・40代・50代・60歳以上)別に11人ずつを均等ランダム抽出した110人
質問: Q1. COPD(シー・オー・ピー・ディー)という病気について知ったのはいつですか?
Q2. どのような経路でCOPDについて知りましたか?
Q3. COPDの原因の90%以上は喫煙であることを知っていますか?
Q4. 喫煙経験のある40歳以上の8人に1人は、COPDの可能性があることを知っていますか?
Q5. COPDの主な症状は慢性的な咳と痰(たん)、息切れであることを知っていますか?

以上

【一般社団法人 GOLD日本委員会について】
一般社団法人GOLD日本委員会は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関する正しい知識の普及を通じて国民の健康増進に寄与することを目的に、順天堂大学呼吸器内科 客員教授 福地義之助らが中心となって、2012年10月9日に設立されました。日本でのGOLDの活動は、2001のGOLDの最初のガイドライン(COPDの予防、診断、治療に関するWorkshop Report)の発表を受けて2002年にスタートし、2004年に「世界COPDデー推進日本委員会」、2007年に「GOLD日本委員会」を組織してCOPDの啓発活動に取り組んできました。2012年、厚生労働省が、「21世紀における第二次国民健康づくり運動(健康日本21(第二次))」でCOPDの認知度向上(平成34年度までに国民の認知度を80%にすること)を目標として掲げ、国を挙げてCOPDの認知率向上に取り組む方針を示したことを受け、より公的な団体として活動の幅を広げるため、一般社団法人GOLD日本委員会として再スタートしました。
一般社団法人GOLD日本委員会の詳細についてはホームページをご参照ください。: http://www.gold-jac.jp/

【GOLDについて】
GOLD (the Global initiative for chronic Obstructive Lung Disease: “慢性閉塞性肺疾患に対するグローバル・イニシアティブ”)は、世界保健機関(WHO: World Health Organization)と、米国心臓、肺、血液研究所(NHLBI: National Heart, Lung, and Blood Institute)の共同プロジェクトに、世界中の医療専門家が協力する形で始まった世界的な活動です。COPDが健康上の、また社会経済的問題として世界に多大な影響を及ぼし、さらに増大していくことを懸念して始動しました。GOLDは、医療従事者および社会一般を対象に、「①COPDについての認識・理解を高めること」、「②COPDの診断・管理・予防の方法を向上させること」、「③COPDに関する研究を促進させること」の3つを目的として活動しています。2002年から、11月中旬の水曜日を「世界COPDデー」と定め、全世界でCOPDの啓発活動を行うよう呼びかけています。
GOLDの詳細についてはホームページをご参照ください。: http://www.goldcopd.com/

【本件に関する報道関係者のお問い合わせ先】
一般社団法人GOLD日本委員会 事務局 (株式会社エム・シー・アンド・ピー内)
TEL: 03-3597-0175 FAX: 03-3597-0177
株式会社エム・シー・アンド・ピー: 本岡、 菅原
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