2014年12月22日 09時37分
一般社団法人GOLD日本委員会

COPDの認知度は30.1% (2014年12月)で昨年同時期に初めて達成した30%以上を維持。今後、自治体での健康日本21(第二次)の施策推進を期待。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関する正しい知識の普及を通じて国民の健康増進に寄与することを目的として活動する、一般社団法人GOLD日本委員会(代表理事: 福地義之助、順天堂大学名誉教授)は、2014年12月に、20代以上の男女10,000人を対象にインターネットによるCOPD認知度把握調査を実施しました。
その結果、COPDについて「どんな病気かよく知っている」「名前は聞いたことがある」と答えた人の割合はそれぞれ9.1%(911/10,000人)、20.9%(2,094/10,000人)で、この2つを合わせたCOPDの認知度は30.1%となり、2013年の調査で初めて達成した30%以上を維持しました。この認知度把握調査は、GOLD日本委員会が2009年から毎年12月に行っているものです(2009年のみ7月にも実施)。2014年のCOPDの認知度は、2013年と比べてわずかに減少したものの、ほぼ変わらない認知度でした。
一方で、COPDについて「どんな病気かよく知っている」と回答した110人にCOPDを認知した時期について尋ねたところ、「最近1ヵ月の間」が7.3%(8/110人)と、2013年(2.7%、3/110人)の2.7倍に増加しました。同様に、COPDの認知経路について尋ねたところ、2013年と比べて「テレビ」「新聞」「書籍」が減少し、「医師や医療関係者から聞いて」「インターネット」「雑誌」「講演会やイベントで」「家族・知人から聞いて」が増加しました。

この結果について、GOLD日本委員会 代表理事の福地義之助医師は次のように述べています。
「COPDの認知度は、COPD啓発プロジェクト*1によるメディア・キャンペーンの影響もあり、2013年に初めて30%を超え、2014年もこれを維持する結果となりました。その要因のひとつとして、GOLD日本委員会が今年度の新たな試みとして11月6日に開催したメディアフォーラム「日本COPDサミット*2からの提言」が挙げられると考えています。COPD啓発に関係する各団体がタッグを組んで実施したこのイベントを、各種メディアで取り上げていただきました。
また、もうひとつの要因として、自治体健康政策担当者向けCOPD講習会事業の実施が挙げられると考えます。まずは健康政策の要となる自治体の方々にCOPDの問題を知っていただき、高い意識を持って啓発活動に取り組んでいただくことが重要であるとの考えから、GOLD日本委員会が2013年度より実施している事業です。現在までに14の都道府県で実施し、来春も新潟県、鹿児島県などで実施予定です。地道な草の根の活動ではありますが、各自治体の活動を後押しし、啓発を活性化していくため、継続して実施していきたいと考えています。
COPDの認知時期、経路についての回答からも、メディアフォーラムや、世界COPDデーを軸に行われた自治体等による啓発活動が認知度維持の一翼を担っていると考えられます。しかし、健康日本21(第二次)の目標である80%にはまだ遠いのが現状です。目標達成には、各自治体がCOPDを住民の健康寿命に対する脅威と認識し、健康日本21(第二次)の方針のもと地域での啓発を進めることが必須です。しかし、まだ取り組みが十分でない自治体も多いと考えられます。GOLD日本委員会では、認知度80%の達成に近づき、COPDの予防と早期診断、適正な治療の実現につなげるため、特に、今後の自治体での健康日本21(第二次)の施策推進を期待し、活動を継続していきたいと考えています」。

*1 COPD啓発プロジェクト: 日本COPD対策推進会議(日本医師会、日本呼吸器学会、結核予防会、日本呼吸ケア・リハビリテーション学会)、GOLD日本委員会、日本医学会が後援して2012年10月に発足したプロジェクトで、新聞、テレビ等のマス・メディアを活用した継続的なCOPDの啓発活動をめざしている。

*2 日本COPDサミット: GOLD日本委員会、日本呼吸器学会、日本呼吸器財団、日本医師会、日本COPD対策推進会議、慢性呼吸器疾患対策推進議員連盟、日本呼吸器疾患患者団体連合会、COPD啓発プロジェクトの8団体が参加。

◆COPDとは
COPDは、喫煙等の刺激による肺の慢性的な炎症反応を基本病態とする呼吸器疾患。日本人男性の死亡原因の第8位となっているこの疾患は、重症化すると患者の日常生活に著しい障害をもたらす。できるだけ早期に発見して重症化を防ぐ治療を始めることが重要であると言われているが、早期診断は進んでいない。この背景には、COPDに対する社会的な認知度が低いことが問題とされている。

◆健康日本21(第二次)とCOPD
厚生労働省は2012年7月に「21世紀における第二次国民健康づくり運動(健康日本21(第二次))」の中で、COPDの認知度をメタボリックシンドローム並みに上昇させること(2011年12月に25.1%であった国民の認知度を2022年度までに80%にする)を目標として掲げ、国を挙げてCOPDの認知度向上に取り組む方針を示している。

<結果の概要>
・2014年12月のCOPD認知度は30.1%だった。
・2014年のCOPDの認知度は、2013年と比べてわずかに減少したものの、ほぼ変わらない認知度だった。
・COPDを認知した時期について尋ねたところ、「最近1ヵ月の間」が2013年の2.7倍に増加した。
・COPDの認知経路について尋ねたところ、2013年と比べて「テレビ」「新聞」「書籍」が減少し、「医師や医療関係者から聞いて」「インターネット」「雑誌」「講演会やイベントで」「家族・知人から聞いて」が増加した。

※このほかの調査結果については、添付の「2014年COPD認知度把握調査結果報告書」をご参照ください。

<調査の概要>
方法: インターネット調査
●予備調査(認知度調査)
期間: 2014.12.8-10
対象: マクロミル社調査パネルの中から性(男・女)、年代(20代・30代・40代・50代・60歳以上)別に1,000人ずつを均等ランダム抽出した10,000人
質問: Q1. あなたはCOPD(シー・オー・ピー・ディー)という病気を知っていますか?
Q2. あなたは「肺年齢」の検査について知っていますか?
Q3. 「COPDの早期発見に肺年齢の検査が有効である」と言われていることを知っていますか?
●本調査(認知状況詳細調査)
期間: 2013.12.9-11
対象: 予備調査でCOPDが「どんな病気かよく知っている」と回答した人の中から性(男・女)、年代(20代・30代・40代・50代・60歳以上)別に11人ずつを均等ランダム抽出した110人
質問: Q1. COPD(シー・オー・ピー・ディー)という病気について知ったのはいつですか?
Q2. どのような経路でCOPDについて知りましたか?
Q3. COPDの原因の90%以上は喫煙であることを知っていますか?
Q4. 喫煙経験のある40歳以上の8人に1人は、COPDの可能性があることを知っていますか?
Q5. COPDの主な症状は慢性的な咳と痰(たん)、息切れであることを知っていますか?

【一般社団法人GOLD日本委員会とは】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関する正しい知識の普及を通じて国民の健康増進に寄与することを目的に、順天堂大学名誉教授 福地義之助らが中心となって、2012年10月9日に設立された。日本でのGOLDの活動は、2001年のGOLDの最初のガイドライン(COPDの予防、診断、治療に関するWorkshop Report)の発表を受けて2002年にスタートし、2004年に「世界COPDデー推進日本委員会」、2007年に「GOLD日本委員会」を組織してCOPDの啓発活動に取り組んできた。2012年、厚生労働省が健康日本21(第二次)で国を挙げてCOPDの認知率向上に取り組む方針を示したことを受け、より公的な団体として活動の幅を広げるため、一般社団法人として再スタートした。
http://www.gold-jac.jp/

【GOLD(the Global initiative for chronic Obstructive Lung Disease: “慢性閉塞性肺疾患に対するグローバル・イニシアティブ”)とは】
世界保健機関(WHO: World Health Organization)と、米国心臓、肺、血液研究所(NHLBI: National Heart, Lung, and Blood Institute)の共同プロジェクトに、世界中の医療専門家が協力する形で始まった世界的な活動。COPDが健康上の、また社会経済的問題として世界に多大な影響を及ぼし、さらに増大していくことを懸念して始動した。GOLDは、医療従事者および社会一般を対象に、「①COPDについての認識・理解を高めること」、「②COPDの診断・管理・予防の方法を向上させること」、「③COPDに関する研究を促進させること」の3つを目的として活動している。2002年から、11月中旬の水曜日を「世界COPDデー」と定め、全世界でCOPDの啓発活動を行うよう呼びかけている。
http://www.goldcopd.com/

【本件に関する報道関係者のお問い合わせ先】
一般社団法人GOLD日本委員会 事務局 (株式会社エム・シー・アンド・ピー内) 担当: 本岡
TEL: 03-3597-0175 info@gold-jac.jp