2015年11月18日 13時10分
OKI

OKI、土砂災害危険斜面を見守る「斜面監視システム」販売開始

TOKYO, Nov 18, 2015 - (JCN Newswire) - OKIは、このたび土砂災害の危険のある斜面に設置した傾斜センサーや土壌水分量センサーからの情報を、当社の省電力920MHz帯※1マルチホップ無線※2(以下 マルチホップ無線)でクラウドセンターに収集し、斜面崩壊の危険をリアルタイムに通知する「斜面監視システム」を開発し、2015年12月1日から販売開始します。本システムは、電池駆動が可能な省電力型マルチホップ無線技術を搭載した傾斜センサーモジュールと、環境エネルギーから電力を創出することでシステムの長寿命化を実現するエナジーハーベスティング※3技術を組み合わせることにより実現しました。土砂崩れや地すべりなど崩壊の危険性のある斜面や法面に傾斜センサーと土壌水分量センサーを設置し、マルチホップ無線技術でセンサーデータを収集することで、遠隔地からの斜面状態のリアルタイム監視を実現します。

近年、集中豪雨やゲリラ豪雨などの異常気象により地盤が急速に緩んだ結果、土砂崩れや地すべりなど土砂災害が多発し各地で大きな被害が出ています。現在、斜面崩壊を検知する観測機器としてはワイヤー伸縮計が広く使われていますが、設置時のコストや耐用年数の短さ、動物による誤検知などの課題があり、全国で50万か所以上と言われている土砂災害の危険個所に対して、観測機器は一部にしか導入されていません。

OKIは、これらの課題に着目し、安価なMEMS※4加速度センサーと省電力型マルチホップ無線技術を組み合わせ、電池で数年以上の動作が可能な「傾斜センサーモジュール」を開発し、システムを構築しました。斜面に設置した複数の「傾斜センサーモジュール」からのセンサー情報を集約装置で収集することで斜面の状態を監視します。また斜面崩壊の要因として土中の水分量が大きく関係しているため、本システムでは「土壌水分量センサー」も備えました。「土壌水分量センサー」は、加速度センサーよりも消費電力量が多いため、太陽光パネルと二次電池を組み合わせることでシステムの長寿命化に対応しています。今後、土砂崩れ予測アルゴリズムなどを導入し、現在の斜面状態の監視のみならず、土砂崩れ発生の危険を予測し、住民避難の必要性を早期に判断するため支援機能も追加する予定です。

OKIは、「斜面監視システム」で、土砂災害の危険個所が多い自治体などのお客様の多様な要望にお応えし、安心・安全な社会を実現するシステムの提供を「地方創生クラウド・サービス」などで積極的に行っていくほか、「市町村防災行政無線システム」や、従来の「河川監視システム」、「沿岸防災システム」など他のシステムと連携した総合防災システムの実現に貢献していきます。

【販売計画】
 標準価格: 1,000万円~(個別見積)
 販売目標: 今後3年間で100セット

【「斜面監視システム」の特長】
1. IoT向け通信プロトコルの採用とセンサーデータの可視化を実現
集約装置とサーバー間の通信プロトコルにIoT向けプロトコルとして注目されているMQTT※5を採用しています。これにより通信回線の低コスト化や多地点でのリアルタイム監視を実現しています。またデータベースに時系列データベースを採用しており、それ用に準備されたフロントエンドを活用することで、ノンプログラミングでデータベースに蓄積されたセンサーデータを簡単に可視化することができます。

2. 電池駆動センサーモジュールによる自在な設置と低コストを実現
従来のマルチホップ通信システムでは、電池駆動可能な無線装置は末端の装置のみで、中継装置には電源が必要な場合が大多数でしたが、本システムでは中継装置も電池駆動可能な省電力型マルチホップ無線技術を採用しています。これにより傾斜センサーを広範囲に設置するだけでネットワークを自律的に形成することができ、電源敷設などの工事費の低コスト化が実現可能です。

3. 環境に影響されない電源確保
従来の太陽光パネルを用いた装置では、発電力が天候に左右されるため、雨天や曇天が長く続くとシステムが停止してしまう恐れがありました。そこで本システムでは、エナジーハーベスティング技術により、キャパシター※6と二次電池の二種類の充電池を備え、曇天などで発電量が少ない場合においても効率的に充電が可能な構成としています。

【斜面監視システム構成図】

画像: https://www.acnnewswire.com/topimg/Low_OKI20151118-1.jpg

【主な構成装置】

画像: https://www.acnnewswire.com/topimg/Low_OKI20151118-2.jpg

【利用シーン】

画像: https://www.acnnewswire.com/topimg/Low_OKI20151118-3.jpg

【用語解説】
※1: 920MHz帯
日本では915.9~929.7MHzを使用する周波数帯で、2012年7月から利用可能。無線LANなどで主に使われている2.4GHz帯と比較して電波到達性が高く、障害物があっても回り込んで届くため、ビルや工場など障害物の多い場所や、屋外での利用にも向いている。海外ではサブギガ帯と呼ばれ、同様の周波数帯がスマートメーターなどに広く利用されている。
※2: マルチホップ無線
複数の無線装置を経由して、バケツリレーのようにデータを伝送する通信方式。親機から直接電波が届かなくても近隣の子機を経由してネットワークに接続できるため、広いエリアの無線ネットワークを低コストで構築できる。また、電波状態の良い経路を自動的に選択して通信を行うため、一時的な電波障害に強く信頼性に優れている。
※3: エナジーハーベスティング
周りの環境からエネルギーを収穫(ハーベスト)して電力に変換する技術。「環境発電技術」とも呼ばれている。環境中に存在するエネルギーとしては、光・熱(温度差)・振動・電波などがある。
※4: MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)
センサー、アクチュエーター、電子回路を一つのシリコン基板、ガラス基板、有機材料などの上に集積化したデバイス。
※5: MQTT(Message Queue Telemetry Transport)
一方向、1対1の通信のみでなく、双方向、1対多の通信が可能なIoT(Internet of Things)向け通信プロトコル。
※6: キャパシター
電気を蓄える蓄電素子。二次電池と比べて、容量は少ないが短時間での充放電や微弱な電流でも充電が可能。また、充放電の繰り返しによる性能劣化が少なく、寿命が長いなどの特長もある。

本リリースの詳細は下記URLをご参照ください。
http://www.oki.com/jp/press/2015/11/z15070.html

概要:沖電気工業株式会社

OKIは米国でグラハム・ベルが電話機を発明したわずか5年後の1881年に創業した、日本で最初に電話機を製造した情報通信機器メーカーです。先見性と勇気をもって果敢に挑戦・行動するという、創業以来の「進取の精神」を連綿と受け継ぎ、ブランドスローガン「Open up your dreams」のもと事業展開しています。現在、「金融システム」「通信システム」「情報システム」「プリンタ」「電子部品・モジュール他」の5つの分野において、OKIグループは社会の発展に寄与する最先端技術の商品・サービスをお客様にお届けし、世界の人々の快適で豊かな生活の実現に貢献しています。詳細はこちらからご覧ください。 http://www.oki.com/jp/

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