2016年08月05日 12時48分
昭和電工

昭和電工、常温硬化するノンスチレン水系ビニルエステル樹脂を開発

TOKYO, Aug 5, 2016 - (JCN Newswire) - 昭和電工株式会社(社長:市川 秀夫)は、スチレンを使用せず*常温で硬化する水系**のビニルエステル樹脂を開発し、10月よりサンプル出荷を開始します。本製品は、有機酸・無機酸が混合した腐食環境からコンクリート面を保護する優れた耐食性と常温硬化性に加え、作業環境の安全性を兼ね備えており、ビル地下排水槽(ビルピット)や下水道施設、農業集落排水処理施設等の防水・防食工事に適しています。

オフィスビル、ホテルやショッピングモールなどでは、排水が一定量を超える場合に一時的に貯留し処理する地下排水槽の設置が義務づけられていますが、このような排水槽内では腐敗した汚水や排水から、硫化水素ガスなどの無機酸や、酢酸・吉草酸などの有機酸が発生し、コンクリート壁面の腐食を進行させます。

このような腐食環境からコンクリートを保護するためには、極めて高い耐食性が必要であり、現在、防食ライニング材として、ビニルエステル樹脂や有機酸対応のエポキシ樹脂が使用されています。他方、一般的なビニルエステル樹脂はスチレンが含まれることから、改修工事に際して引火・中毒などの予防や臭気対策が必要です。有機酸対応エポキシ樹脂についても、スチレンは含まれないものの、かぶれなど作業者の安全性確保の対策が必要でした。

このような環境下、当社は長年培ってきたビニルエステル樹脂における防食ライニングの知見とエマルジョンの乳化技術を生かし、ノンスチレン系防食材料の耐薬品性向上と水系化を研究してまいりました。従来のノンスチレンビニルエステル樹脂は耐薬品性が低く、加えて樹脂を水系化するためにはベース樹脂に多くの親水性成分を添加する必要があり、耐水性***の維持が課題でした。今回開発したノンスチレン水系ビニルエステル樹脂では、独自の樹脂設計と乳化技術により、従来のビニルエステル樹脂と同等の優れた耐薬品性・耐水性を実現しました。また、従来のビニルエステル樹脂同様、常温硬化でコンクリート表面に高耐食性の防食被覆層を形成させることも可能です。

本製品はビニルエステル樹脂の特徴である優れた高耐食性と常温硬化性に加え、安全性を兼ね備えることから、作業環境の改善、臭気低減、樹脂の取扱いの容易さにおいて、優位なライニング工法を提案します。当社は今後も、国内外で需要が期待されるインフラ整備の進展に貢献してまいります。

* ノンスチレンビニルエステル樹脂…反応性モノマーにスチレンを使用しないビニルエステル樹脂。一般的なビニルエステル樹脂はビニルエステル(ポリマー)にスチレン(モノマー)を希釈溶解して樹脂にするが、ノンスチレンビニルエステル樹脂ではモノマーにアクリルエステルを用いる。溶剤系樹脂は有機溶剤を揮発させることで樹脂を固着させるが、水系樹脂は水が常温乾燥するだけで機能を発揮する。

** 水系…樹脂に親水性を付与し乳化させ、水に分散させたエマルジョン。水系により、塗装時にスチレンによる希釈(粘度調整)が不要となる。

*** 耐水性…一般的に親水性成分が吸水すると、水分による劣化や重量変化が起きやすい。

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概要:昭和電工株式会社

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