2019年06月27日 11時12分
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内モンゴルのエコツーリズム 日中交流の架け橋

東京, 2019年6月27日 - (JCN Newswire) - オルドス(鄂爾多斯)市内に位置する恩格貝(オンカクバイ)砂漠は、クブチ(庫布其)砂漠の中ほどに位置する。27年前にはこの場所は荒れ果てた不毛の地で、30万ムー(1ムーは約0.06ヘクタール)にわたる土地には人影もまばらだった。それが27年後の現在では、美しい風景が広がり、多くの観光客が訪れる有名なエコツーリズムの人気の地域となっている。この砂漠の緑の奇跡は、日本の高齢者・遠山正瑛氏と彼が率いる数千人の日本人ボランティアと切っても切り離せない関係がある。

1990年代初め、遠山氏は恩格貝砂漠開発モデル地区の指導責任者として招かれ、また日本砂漠緑化実践協会を設立した。中国での砂漠緑化対策に尽力した10数年で、遠山氏は新疆や甘粛、寧夏、内モンゴル等の各地をくまなく周り、ボランティア7000人以上を率いて約300万本を植樹してきた。

恩格貝砂漠の発展の歴史において、この砂漠が内モンゴルの風光明媚な景色の欠かすことのできない一部であるのと同じく、遠山氏の名前は輝かしい位置を占めている。

恩格貝砂漠が日本人観光客に人気の観光地となり、砂漠のオアシスの奇跡に観光客が驚嘆するのは、遠山氏のエピソードに対する感銘の念や誇らしさの気持ちもあるのかもしれない。また恩格貝砂漠を含む内モンゴルも大きく腕を広げて、日本からの観光客を歓迎している。

内モンゴルにある数多くの美しい風景が、日本人観光客を強く魅了している。見渡す限りの緑の大草原で草が風になびき、羊の群れがあちこちに点在する。一面のフルンボイル(呼倫貝爾)大草原や神秘的な月亮湖、雄大な阿爾山などはいずれも、人々の心を掴んでいる。

近年、内モンゴルに静かな変化が生じていることに、注意深い日本人観光客は気づいているかもしれない。かつての荒れ果てた土地に色鮮やかな花が咲き乱れ、以前は枯れ果てていた川床に豊かな流れが蘇っている。

素晴らしい生態環境は観光の生命線といえる。内モンゴルの生態環境の改善はその観光業の発展をも後押ししている。現段階で内モンゴルには自然保護区182カ所、国家森林公園43カ所、国家湿地地公園49カ所、さらに世界地質公園3カ所、国家地質公園8カ所が存在している。2016年、内モンゴルの盟市12カ所の大気の質の指標達成日数は平均で314日、優良とされる日数の割合は86%に達している。

内モンゴルのこうした生態面での成果は、政府の協力な政策支援なしには成し遂げられなかっただろう。内モンゴルの最大の潜在力は生態にあり、最大の責任も生態にあるといわれている。保護の枠組みの下で、新たな発展の局面へと進まなければならず、発展の潮流を前にしても、頭に血が上ってベースラインを見失ってはならない。

中国政府は内モンゴルの経済発展転換と民生改善を大きく重視し、政策的支援に力を入れているが、それが内モンゴルのここ数年の急速な発展の推進力である。中国の習近平国家主席は2014年に内モンゴルを考察した際に、内モンゴルの各級の幹部民衆に対して次のように明確に指導している。「緑色(グリーン)こそが内モンゴルの基色と価値であり、生態こそが内モンゴルの責任と潜在力である。前途は主に二つあるといえるだろう。一つは引き続き重大な生態回復プロジェクトや京津(北京市・天津市)風砂源対策を成功させ、三北防護林システムの建設、退耕還林(耕作をやめて森林に戻す)、退牧還草(放牧をやめて草原に戻す)といった重点プロジェクトの建設をしっかりと実施すること。もう一つは生態文明制度の構築を積極的に模索し加速させることである。」

政府の呼びかけの下で、内モンゴル自治区は草原や森林を中心とする、大興安嶺、陰山・賀蘭山生態防護防壁を重点的に建設し、砂地防除区や砂漠防除区、草原保護・整備区、黄土高原丘陵峡谷水土保持区を建設、湿地等の開発禁止地域の保護や地質環境整備を強化、「三屏四区」(黄河上流の生態防壁、長江上流の生態防壁、河西内陸河川上流の生態防壁と、隴東黄土高原丘陵渓谷水土保持生態機能区、石羊河下流生態保護整備区、敦煌生態環境・文化保護区、粛北北部荒廃・砂漠生態保護区)の生態安全防壁の形成推進に努めている。同時に、国家の草原と牧畜のバランス維持や禁牧・輪牧といった政策を積極的に実現している。内モンゴル政府と中国科学院も全面的な協力を実施し、呼倫貝爾市で全国初の生態草木業実験区の建設を行った。「十二五」(第 12 次五カ年計画)期間には、全ての区の森林面積と立木蓄積量が増加し、天然林資源の保護や「三北」(東北、華北、西北)防護林の建設、退耕還林・還草といった一連のプロジェクトが推進され、毎年1400万ムー以上の造林を完了した。

2016年10月1日、内モンゴル呼倫貝爾市自然保護区では、歴史上初となる「一区一法」—「内モンゴル自治区呼倫湖国家級自然保護区条例」が施行され、各種の総合的保護整備プロジェクトの実施が拡大された。これまでに呼倫湖の湖面水域面積は一般的な水準まで回復し、水質も大きく改善している。同時に、沿岸流域でも大規模な退耕還林、退耕還草プロジェクトを積極的に行い、河川や湖水の水系保護に重要な役割を果たしている。

数多くの環境整備措置の他に、内モンゴルでは産業構造の調整も積極的に推し進め、工業構造を石炭への一極依存から多元化へと転換している。観光業は年平均で20%以上成長、2013年から2016年の経済は年平均で7.9%成長し、都市化率は60%を超え、全区の公道総キロ数は19万キロを突破した。141万人が貧困から抜け出し、貧困発生率は14.7%から4.1%へと低下、基本医療保険の都市・農村の覆蓋率は98%以上に到達した。こうした大規模な改革の下で、内モンゴルの農村牧畜地域の民衆の収入も大きく増加し、農村牧畜地域の常住住民の一人あたり平均可処分所得は1万元を超えた。生活水準の向上にともない、農民と遊牧民の精神的な生活のレベルも徐々に向上している。

生態環境だけではなく、内モンゴルの文化も日本人観光客にとって独特の魅力を放っている。様々な民族の人間がこの広大な土地で共に生活し交流することで、文化が交錯、融合し、独特の特色を備えた文化の素地が育まれた。例えば、モンゴル族の短調民歌と漢族の爬山調が結びついて、漫瀚調が誕生した。また漢族の評書の形式を参考にモンゴル語を使って歴史故事を歌い語ることで、烏力格爾(ウリゲル)が形作られた。この地にはまた紅山文化や大窯文化、薩拉烏蘇文化といった歴史や文化、長調やホーミー(喉歌)、馬頭琴、安代舞、元上都遺跡、遼上京、チンギス・ハン(成吉思汗)陵といった文化遺産もある。

民族的なものはすなわち世界的なものでもあるといえるだろう。内モンゴルは北方の遊牧文化の揺籃かつ草原文化の発祥地として、開放的・融合的で自由奔放といった気質が早くから文化の流れに溶け込んでいるといえる。多民族の特色を兼ね備えた内モンゴルの文芸の形式は、現地の民衆と日本人観光客との間の交流の架け橋となっている。

日本と中国の間の観光交流は、日中の人々が願い求めるもので、日中友好の基礎であり、日中友好促進の意義を体現するものでもある。2019年は日本と中国のいずれにとっても、重要な意味を持つ年である。中国にとっては新中国の建国70周年、中国の改革・開放41周年、日中平和友好条約締結40周年後の最初の年にあたる。また日本にとっても新たな節目の年で、令和元年の年となる。両国はこの重要な時期と契機をしっかりとつかみ、両国の文化・観光交流をよりどころに、関係を緩和し、協力を促進して、日中交流の架け橋を築き上げ、両国のウィン・ウィンの関係と発展を促進すべきだろう。

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