東京, 2021年12月8日 - (JCN Newswire) - グローバル・コンサルティング・ファームのアリックスパートナーズは本日、日本を含む世界7ヶ国の消費者を対象に実施した「2021年度 健康意識・消費調査」(以下、本調査)の結果を発表しました。本調査からは、世界的に消費者の健康意識は高まっているものの、健康関連商品の購入に際しては様々な疑問を感じている消費者が多いことが明らかとなりました。
本調査においては、直近1年間で健康意識が高まったと回答した消費者が世界でも日本でも全体の49%を占めました。その間、健康関連商品への支出を増やしたと回答した消費者は、日本以外の国々は全体の17%を占めたのに対し、日本では7%にとどまりました。その健康関連支出を増やしたと回答した消費者のうち、世界では91%、日本でも92%が健康関連商品の購入に何らかの課題を感じていると回答しており、健康関連商品については供給サイドにまだ多くの課題が残されていることが浮き彫りになりました。
セグメント別動向
本調査では、日本については健康関連商品の支出を増やしているのは、(1) 小学生までの末子を持つ女性、(2) 定期的に通院している消費者、(3) 料理への関心が高い消費者でしたが、いずれも近しい人に対する責任を足元で負っている消費者セグメントと言えます。これらセグメントの消費者は消費財支出の内15%を健康関連商品に費やしていました。各セグメント別にみていくと以下のような状況がうかがえます。
(1) 小学生までの末子を持つ女性については、直近1年間で支出が増えた健康関連商品カテゴリーは主に飲料(同セグメントの消費者の50%が選択)とスキンケア(同40%)で、彼らは主に食品スーパー・ドラッグストアで購入していました。課題と感じているのは、価格(同56%)、商品の見極め(同23%)、配荷(同23%)との回答が寄せられました。
(2) 定期的に通院している消費者においては、直近1年間で支出が増えた健康関連商品商品カテゴリーは主に乳製品(同セグメントの消費者の24%が選択)とペットケア商品(同24%)で、購入するのは主に食品スーパー・ドラッグストアでした。課題と感じているのは、価格(同47%)、商品の見極め(同27%)、配荷(同25%)、商品の選択肢(同22%)でした。
(3) 料理への関心の高い消費者については、直近1年間で支出が増えた健康関連商品カテゴリーは主に生鮮肉(同セグメントの消費者の23%が選択)とペットケア商品(同17%)で、購入するのは主に食品スーパー・ドラッグストアでした。主に価格(同49%)、商品の見極め(同30%)、配荷(同24%)、商品の選択肢(同22%)に課題を感じていることがわかりました。
上記に加えて、健康関連商品に対するニーズは強いものの現時点では課題や疑問を抱いて、支出にまで至っていないセグメントとして、(4) 子供が独立した女性があげられます。それでも、同セグメントの中で健康関連商品への支出を増やしている消費者は、消費財支出の37%を健康関連商品に充てているため、供給サイドとしては魅力的なセグメントであると考えられます。
商品購入における課題
日本においても世界においても健康関連商品の購入が増えているとはいえ、95%近くの消費者が様々な課題や疑問を感じています。健康関連商品の支出が増えた消費者が感じている課題で多かった項目は、商品の値段が高すぎる(56.5%)、どの商品が良いかを見極めるのが難しい(37.2%)、普段買い物をする場所で商品が手に入らない(26.2%)、好きな味・色・香の商品が少ない(20.0%)、好みのサイズの商品がない(16.6%)でした。その他にも、美味しくない、商品の効果が小さい、サステナブルでない、好きなブランドが提供している商品でない、といった課題も挙げられました。この結果からも、供給サイドでは、プライシングの再検討が重要であること、さらに、商品の表記や店頭での表示、販売チャネルなどについても新たな戦略が必要になると思われます。
市場規模
健康関連商品の中でもやはり健康食品の支出増加が顕著でした。日本における健康食品の市場規模は2020年時点で約2.5兆円と推定*されていますが、本調査で抽出した上記4つの消費者セグメントによる増加分を考慮しただけでも2025年までに2020年比で5,000億円近い増加が見込まれ、市場規模は3.0兆円に達することが明らかになりました。
*インテージ調べ 「健康食品・サプリメント+ヘルスケアフーズ+セルフヘルスケア市場実態把握レポート 2020年度版」
さらに、健康食品の一部であるオーガニック食品・飲料だけに絞っても、日本市場では約0.2兆円*であるのに対して、海外では市場規模が米国5.7兆円、ドイツ1.5兆円、フランス1.5兆円*に達しています。このことからも、日本の健康関連商品の市場はまだ小さく、今後大きな拡大の余地があるといえます。
*FiBL 「The world of organic agriculture Statistics & emerging trends 2021」。なお、日本市場は2018年、海外市場は2019年時点の市場規模を使用
また、本調査で健康関連商品の消費に積極的であった上述の4つの消費者セグメントについて実際の人口数を統計から抽出すると以下のようになります。子供が独立した女性については、現時点での消費は少ないものの、人数が多いため今後は有望なターゲットになり得るでしょう (下記の消費者セグメント別の人口はセグメント間の重複を含んだ数字)。
アリックスパートナーズで小売・消費財を担当するシニア・ヴァイス・プレジデントの魚谷洋輔は次のように述べています。「日本でも健康関連商品の消費は増加傾向にありますが、本調査はでは供給サイドでの課題が多いことも明らかとなりました。これは裏を返せば、こうした課題を解決することで市場規模をさらに拡大させることが可能ということになります。消費財・小売企業は健康関連商品を自社の成長戦略の1つとして捉え、まずは足元で消費を増やしている小学生までの子供を持つ女性、定期的に通院している消費者、料理への関心の高い消費者セグメントへのアプローチを優先することが鍵となるでしょう。そのためには、価格設定や商品のバリエーションを再検討し、並行して商品の表記、店頭での表示、広告媒体の選択等の訴求方法をさらに磨き込むことが必要と思われます。それにより、子供が独立した女性等のその他の消費セグメントも波及的に取り込むことができると考えられます」。
調査集計データはこちらからご覧いただけます。
「2021年度 健康意識・消費調査」について
アリックスパートナーズでは、2021年4月14日から5月4日(日本以外)と2021年9月24日から27日(日本)の期間に18歳以上の消費者計8,064人を対象に、健康に関連する商品に関する意識および消費に係る調査を実施。日本(2,000人)、アメリカ(1,013人)、 中国(1,012人)、ドイツ(1,011人)、イギリス(1,009人)、フランス(1,010人)、イタリア1,009人)から回答を受領。
アリックスパートナーズについて
1981年設立。ニューヨークに本社を構える結果重視型のグローバルコンサルティング会社。企業再生案件や緊急性が高く複雑な課題の解決支援を強みとしている。民間企業に加え、法律事務所、投資銀行、プライベートエクイティなど多岐にわたるクライアントを持つ。世界20都市に事務所を展開。日本オフィスの設立は2005年。日本語ウェッブサイトは https://www.alixpartners.com/jp/
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