2012年12月17日 12時18分
株式会社東芝

東芝:ミリ波レーダなどの開発に応用可能なMOS可変容量ダイオードの設計モデル手法を開発

-直流帯からミリ波帯まで一つのモデルで高精度に特性を再現-

2012 Asia-Pacific Microwave Conference

東京--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ)-- 東芝は、岡山県立大学情報工学部情報通信工学科集積回路工学研究室 伊藤信之教授と共同で、直流帯から高周波のミリ波帯まで高精度に特性を再現できるMOS可変容量ダイオードのシミュレーションモデルを開発しました。

開発したモデルは、1MHzの低周波から、今後利用拡大が見込まれる60GHzのミリ波帯におけるMOS可変容量ダイオード(*1)の持つ形状依存性を解析した結果を反映させて、独自の式を導入し、一つのモデルで実現したものです。色々なサイズが使われるMOS可変容量ダイオードについては、一つのモデルで実現するのは難しいとされています。
この手法を用いることにより、発振回路の位相雑音電圧依存性が高精度で表現でき、RF-CMOS製品の低消費電力化を実現します。今後は当社の注力するRF-CMOS製品開発の基盤技術として活用していきます。また、将来の応用として、CMOS回路を使ったミリ波レーダなどの開発が可能となります。

当社がモデルの妥当性を65nm RF-CMOSの回路を用いて検証した結果、0.26umから2.0umまでの範囲のMOS可変容量ダイオードにおいて、直流から67GHzまでの範囲で高精度にモデリング出来ていること、さらに、60GHz帯で発振回路の位相雑音の制御電圧依存性を測定し、実測値とシミュレーションで比較した結果、制御電圧範囲における乖離が従来モデル(*2)より8dB向上し、モデルが実測値を正確に表現できることがわかりました。

なお、この成果は、12月4日から7日に台湾で開催されたAPMC(Asia Pacific Microwave Conference)で発表されました。

*1:MOS可変容量ダイオードは、MOS(Metal-Oxide-Semiconductor)の三層構造素子で、集積回路では主に電圧制御発信器の周波数可変部分に利用されています。
*2:従来のシミュレーションモデルとしては、University of California Berkeleyが開発しているBSIM(Berkeley Short-channel IGFET Model)モデルが広く使用されています。

問い合わせ先:
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玄地恵/野口邦男
Tel: 03-3457-3367
e-mail: semicon-NR-mailbox@ml.toshiba.co.jp

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