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Institutional Investor誌の2016年全米リサーチチームでは、セルサイドリサーチの利点が判明しました。第45回ウォール街エクイティアナリスト年間ランキングでは、「バイサイドがなぜいまだにセルサイド リサーチを購入するのか」という疑問について調査しました。

1975年5月に、180年にわたるウォール街の固定仲買手数料制度が終了して以来、関係者の予測ではセルサイドエクイティリサーチの先は長くないと言われ続けており、セルサイドリサーチとバイサイド投資の関係は危ういという悲観的な見方がされていました。

しかし何年たっても、セルサイドは驚くほどの底堅さを見せてきました。JPモルガン社北米リサーチ責任者のNicholas Rosato氏は、多くの悲観的見方や変動の中にあっても、数十年にわたって変わらなかった点は、バイサイドとの互恵関係であると論じています。

「バイサイドはいまだにセルサイドを必要としており、その価値を認めています。」と、Rosato氏は認めています。

Institutional Investorは、メーデーの3年前の1972年に、全米リサーチチームランキングを開始しました。このランキングの長い歴史が、セルサイドリサーチの進化、調整、変化の能力を示しています。

「Institutional Investor全米リサーチアンケートは、今でも投資リサーチエコシステムの卓越性を示す標準であり続けています。」と、II誌リサーチ代表取締役のWill Rowlands-Rees氏は述べています。「今年の投票は、経済性/戦略セクターに特に集まり、全体の投票数も大幅に増えました。不安定なグローバルマクロ環境を考えると、無理のないことです。この事実は、バイサイドとセルサイド間に実用的な商品フィードバックを提供するこのプロセスが、依然として重要であることを強調しています。」と、彼は付け加えています。

チームランキングは、環境分析のアウトソーシングプロバイダの実績について、バイサイドが審査したものです。一種の選挙であり、銘柄選択コンテストではありません。

今年の投票では新しい勝者が生まれました。昨年は、それまで5年連続で第1位だったJPモルガン社を、バンクオブアメリカ・メリルリンチが僅差で下しました。今年は、JPモルガン社が2015年より4票多い40票をアナリストから集め、チームは首位に返り咲きました。バンクオブアメリカ・メリルリンチは6票減らして32票でした。

今年の上位10社は次のとおりです。

1. J.P.モルガン
2. バンクオブアメリカ・メリルリンチ
3. Evercore ISI
4. UBS
5. モルガン・スタンレー
6. バークレイズ証券
7. Sanford C. Bernstein & Co.
8. Deutsche Bank Securities
9. RBCキャピタルマーケッツ
10. シティ

今年のチームには、合計で30社322人のアナリストがランク入りしました。ランク入りした企業やアナリストなど全チーム一覧は www.institutionalinvestor.com/aart をご覧ください。

今年の結果から判明した投資動向は次のとおりです。

- 混乱の年に投資家はトップ企業に注目。上位10社中8社の票数が増加。特にEvercore ISIは25票から30票に、UBSは22票から28票に伸びました。これは2015年には当てはまりませんでしたが、混乱の年には投資家が大規模で多角的なトップ企業に注目することを示唆しています。

- 「量より質」という点ではJPモルガン社が傑出。上位企業の合計スコアボードではなく、加重平均を見ると、また違ったことが分かります。この方法では、チーム内にランク上位のアナリストがいる場合、信用に高得点が入ります。第1位には各4ポイント、第2位には各3ポイントというように加重平均を計算した場合、何年にもわたってJPモルガン社が圧勝し続けています。同行は109ポイント、第2位のEvercore ISIは79ポイントです。バンクオブアメリカ・メリルリンチは今年、加重平均59ポイントで第4位に下がりました。

- 不安定な年には加重平均にも変化が。Evercore ISIは2015年の第3位から第2位に上がり、UBSは第6位から第3位へと3位も上昇しました。しかし加重平均では、UBSとバンクオブアメリカ・メリルリンチ、およびニューヨークを拠点とするBernsteinとモルガン・スタンレーの4社が僅差で争い、第3位のUBSと第5位のモルガン・スタンレーの差はわずか5ポイントでした。

- 2015年の人気株は2016年には不人気に。今年の市場では、ゲインが今までより狭い株の世界で発生しました。従来セルサイドリサーチがサービスを提供してきたお客様は、積極的に価値重視で株式を選んでいましたが、今年は大型株、配当、株買戻し、ディフェンシブへのシフトが見られます。米国株市場は、グローバルに利回りを探す投資家から利益を得ていますが、バンクオブアメリカ・メリルリンチの米国リサーチ施策を実行しているBrian Hodess氏は、ファンド・マネージャーの半数以上がまだ市場を割高と感じていると述べています。

- 複雑な一連のマクロ経済ファクタのために、セルサイドリサーチャーは協力せざるを得ない。「英国のEU脱退、欧州中央銀行、米国の連邦準備制度、日本銀行、中国など、すべての問題がマクロリサーチと株式リサーチの混合アプローチに関わっています。」と、Evercore ISIの経営投資委員会幹部のVinayak Singh氏は述べています。「これにはたいへんな量の協業が必要です。」少なくともこの種のリサーチによって、規模、リーチ、財源の不足がちなスタートアップ企業や小規模リサーチ会社の障壁が解消されます。Evercore ISIのSingh氏は、大企業へと人材が移り、セルサイドが統合されていると語っています。その証拠に、高ランクアナリストは以前より上位10社に集中しています。

- 「誰がセルサイドリサーチに金を払っているか」という1975年以来の疑問が、さらに大きく。ヨーロッパでは第2次金融商品市場指令(MIFID II)と呼ばれる議論の多い規制政策によって、リサーチは手数料とバンドルしてはならないと義務付けられており、他の多くの変更と同様に、2018年1月には施行される見込みです。米国のリサーチも免除されません。大手企業にはヨーロッパの顧客や、ヨーロッパでビジネスをしている顧客がいます。その効果には議論があるものの、 バンドル禁止によって、企業は、グループ全体を通じた個別アナリストのサポートや、他の企業を通じた特定の企業のサポートをしやすくなります。「中規模企業にして、優れた商品を持っていない場合、販売機会を逃すことがあります。」と、モルガン・スタンレー米国株リサーチグループ部長のDavid Adelman氏は述べています。「お客様がリサーチへの票を、少数の企業に集中させているように」これは米国のどこでも徐々に起きていると、彼は付け加えています。

2016年全米リサーチチームの調査結果は、米国の大手エクイティ管理会社100社中90社以上など、1,090社以上の約3,835人の参加者の意見を反映しています。回答者は推定11.57兆米ドルの米国エクイティを管理しています。

ランキング結果全文、分析と手法などは www.institutionalinvestor.com/aart をご覧ください。

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