Tokyo, 2012年9月25日 15時00分 - (JCN Newswire) - 自動車業界をはじめ様々な分野で戦略的情報システムを提供しているITカーズ株式会社(本社: 東京都千代田区神田、竹馬徳昭社長)は9月25日、世界初となる「ガソリン混合水素エンジン」自動車へのコンバージョン(機能変換)キットを発表し、車検をクリアした搭載車をプレスに公開した。
この世界初となる「ガソリン混合水素エンジン」へのコンバージョンキットは、東京都市大学(旧・武蔵工業大学)の総合研究所水素エネルギー研究センターの山根公高准教授の助言のもとにITカーズにより開発されたもの。
新エネルギー、環境対策の視点から次世代自動車の動力源について、これまで100年余の技術蓄積を有する内燃機関とするか、モーター系の電気自動車や燃料電池車(FCV)にするかについて国際的な議論を呼ぶ中で、この世界初となる「ガソリン混合水素エンジン」は、新たなソリューションを実証することとなった。
特に国内で約7,560万台(自動車検査登録情報協会2012年調べ)、世界では10億台を超えるといわれる保有自動車台数のほとんどはガソリンを主燃料とする内燃機関車であり、これらがITカーズ開発のコンバージョンキットを組み込むことで、環境に負荷の無い水素による走行が可能となる。
今回の発表について、山根博士は「内燃機関を利用した水素エンジンは、今までの熟成した技術を利用し、低コストで、大きな技術的問題を抱えることなく生産できる唯一の方法であることを実証できた」と語っている。同博士は日本における水素自動車の研究・開発で40年のキャリアをもつ第一人者で、既に試験車では乗用車などの開発に携わってきた。
ガソリン混合水素エンジンの実用化に向けてコンバージョンキットの開発に中心的役割を果したITカーズ技術部長の今井作一郎(いまい さくいちろう)氏は、「2009年より山根博士の助言を受け試作に取り組んだ。技術的に一番難しいコンパクトな軽自動車を開発車に選んだ。これに成功すれば、すべての車種への組み込みは容易になる」と述べている。
今井氏は1998年のパリ・ダカールラリーにおいて市販車改造ディーゼル・クラス(T2-2)で2回目の参戦にして見事クラス優勝を遂げた伝説のエンジニア。
昨年1月、経済産業省と民間企業(自動車メーカー3社とエネルギー事業者10社)が水素を燃料とする燃料電池車の普及水素燃料のインフラ「水素ステーション」の整備を共同事業として取り組み、2015年までに東京、愛知、大阪、福岡の4大都市圏で100箇所程度を先行的に設置する旨の共同声明を公表している。この水素エンジン自動車は水素供給・利用技術研究組合(HySUT)の承認を受けており、燃料電池車用のインフラを共用することができる。
この水素エンジン自動車ではガソリン単独と水素とガソリン混合モードでの走行でき、モード切り替えは最適化プログラムにより自動的に行われ、パワーとレスポンスの低下を防ぎ、段付きの無い燃料の入替えを可能とするなど下記の特長をもつ。
■「ガソリン混合水素エンジン」自動車の概要
- 開発車種: 軽自動車(スズキワゴンR直噴インタークーラー付きターボエンジン、最も小型である軽自動車で利用できれば、すべての車種に適用可能)
- 出力: 改造前の能力と同等
- 燃料消費: 改造前と同等かそれ以上
- 排気性能: 水素運転時は完全にクリーン。水素+ガソリン時は、ガソリン車以上のクリーンさ
- 使用燃料: 水素およびガソリン
- 使用方法:
-- 水素燃料単独(都市内での通常走行)
-- ガソリン単独(水素がなくなった場合や、水素を入手できない場合に用いる)
-- 水素・ガソリン併用(追い越しなど高負荷運転時に用いる)
- 走行距離: 開発車に搭載している35MPa高圧水素容器(1本)で約150km(高速道路を走行した場合のデータ)。ガソリンで350km、両燃料を合わせると500kmの走行が可。
- 運転方法: 改造前と同じ、完全オートマチック
- 運転者の制限: 普通自動車免許保有者対象
- 公道走行: 可能
- 関連特許:
-- 液体燃料を用いる内燃機関に後から設置可能な後付式の気体燃料供給キット
-- エンジンに対する気体燃料の供給方法、および当該方法によって出力が向上したエンジン
今後、ITカーズでは「ガソリン混合水素エンジン」自動車へのコンバージョンキットの普及化のため、関連企業との事業提携をすすめていく方針である。
ITカーズ株式会社について
自動車業界をはじめ様々な分野で最新の情報機器とソフトウェア、通信技術、そしてマーケティング戦略などを組み合わせ、これまでにない情報システムや市場戦略、そして新たなビジネスモデルを顧客企業に提案している( http://www.itcars.co.jp/ )。創業は2007年。
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