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2012年10月01日 13時21分

昭和電工、電子回路形成用導電性インクを開発―印刷可能な銀ナノワイヤーインクおよび銅・銀ハイブリッドタイプ

昭和電工株式会社(社長: 市川 秀夫)は、国立大学法人 大阪大学の菅沼克昭教授と共同で、印刷により自由にパターン形成が可能な銀ナノワイヤーインクを開発いたしました。
Tokyo, 2012年10月1日 11時05分 - (JCN Newswire) - 昭和電工株式会社(社長: 市川 秀夫)は、国立大学法人 大阪大学(以下、大阪大学)の菅沼克昭教授と共同で、印刷により自由にパターン形成が可能な銀ナノワイヤーインクを開発いたしました。この銀ナノワイヤーインクに光焼成技術(Photonic Curing(TM))を組み合わせることにより、高い安定性を持つ透明導電パターンをフレキシブルなフィルム上に形成することが可能となります。

銀ナノワイヤーインクは、透明でシート抵抗*の低い導電膜を形成できることから、タッチパネル等の透明導電膜に使用されるITO(酸化インジウムスズ)の代替として期待されています。しかし従来の銀ナノワイヤーインクは、インクの性状から印刷によるパターン形成が難しく、また、基板にコーティングした後、熱処理とエッチング加工が必要となるため、耐熱性の低い樹脂基板の使用が困難でまた工程も複雑であるという課題がありました。今回、インク性状に改良を加え、さらに密着性を向上させたことにより、樹脂基板等にも自由に回路を印刷することが可能となりました。さらに当社が導入した米国NovaCentrix社のPhotonic Curing(TM)技術を用い、瞬時に焼成させ、導電性を発現させることに成功いたしました。なお、銀ナノワイヤーを用いた導電膜はITOで必要とされるレアメタルのインジウムを使用しないため、資源制約の問題もありません。

また、当社では銅と銀のハイブリッドインクをあわせて開発いたしました。銀インクはすでに広く使用されていますが、高価であることと、マイグレーション**が大きいことが課題として挙げられています。今回当社が開発したハイブリッドインクは、銅ナノ粒子に少量の銀ナノ粒子を添加したものであり、このインクを用い印刷されたパターンをPhotonic Curing(TM)で焼成することにより、銅の比率が高いにも関わらず銀インク並みの導電性が得られ、かつマイグレーションも小さく抑えることに成功いたしました。本製品は、従来の銀インクやペーストの低コスト代替品として使用することが可能です。

導電性インク等を用いるプリンテッドエレクトロ二クスは、印刷技術を応用し電子回路やデバイスを形成する技術であり、製造工程が従来の製法に比較し大幅に簡略化されると見られることから市場の拡大が期待されています。当社は将来の市場拡大に備え、引き続き銀ナノワイヤーの透明導電膜への応用について開発を進めてまいります。また銅と銀のハイブリッドインクについてはサンプル出荷を10月より開始いたします。

なお今回発表の銀ナノワイヤーインクおよび銀・銅ハイブリッドインクについては、10月2、3日にヒルトン東京で開催される「Printed Electronics Asia 2012」にて展示する予定です。

* シート抵抗: 厚さが一様の薄膜やフィルム状の物質における、電気抵抗を表す度合い。
**マイグレーション: 金属成分が非金属媒体の表面や中を横切って移動することで、回路のショート等が生じる現象。

概要: 昭和電工株式会社

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