AEROPRES

2017年06月15日 18時06分

ついに、障害者の法定雇用率の引き上げが審議会で承認 従業員数1000人未満の企業の44%が「達成厳しい」 企業規模による二極化が進む

障害者専門の就職・転職支援を行う株式会社ゼネラルパートナーズは、同社が運営する『障害者総合研究所』にて障害者雇用率引き上げに対する企業の対応に関する調査を実施しました。この調査は2017年5月30日に厚生労働省が開催した労働政策審議会により、障害者の法定雇用率を2018年4月に2.2%、2020年度末までに2.3%に引き上げることが承認されたことを受け、これに伴う企業の対応を調査したものです。
障害者専門の就職・転職支援を行う株式会社ゼネラルパートナーズ(本社:東京都中央区、代表取締役社長:進藤均)は、同社が運営する、障害者雇用の調査・研究機関『障害者総合研究所』にて、障害者雇用率引き上げに対する企業の対応に関する調査を実施しました。この調査は、2017年5月30日に厚生労働省が開催した労働政策審議会により、民間企業における障害者の法定雇用率を2018年4月から2.2%、2020年度末までに2.3%に引き上げることが承認されたことを受け、これに伴う企業の対応を調査したものです。

調査概要
対象:株式会社ゼネラルパートナーズの取引企業72社(1000人未満の企業32社、1000人以上の企業40社) 調査期間:2017年6月5日~2017年6月9日

障害者雇用率の引き上げの概要

2017年5月30日に厚生労働省労働政策審議会にて、障害者雇用率の引き上げ幅が承認。
障害者雇用率の算定式に精神障害者が追加されたことにより、
現状 2.0% ⇒   2018年4月時点で2.2% 2020年度末までに2.3%となることが承認された。

障害者雇用率の算定式=
(身体障害者・知的障害者・精神障害者である常用労働者の数+ 失業している身体障害者・知的障害者・精神障害者の数)÷(常用労働者数 - 除外率相当労働者数 + 失業者数)

1000人未満の企業、引き上げ幅は予想通りが72%、しかし達成は厳しい


「2018年度4月時点で法定雇用率が2.2%になることは予想通りでしたか。」との質問に対して、1000人未満の企業では72%が『予想通り』と回答しているが、「2018年4月1日の時点で2.2%の雇用率は達成できると思いますか。」という質問に対しては1000人未満の企業の44%が『達成できるとは思わない』と回答。2.2%への引き上げは予想していたものの、達成の見込みは立っていないと予想される。

一方、従業員数1000人以上の企業については今回の法改正を見据え、既に高い雇用率の目標を立てていたところが多いと思われ、53%が「予想よりも低かった」と回答。さらに、83%が引き上げ後の雇用率についても達成の見込みが立っている。


雇用率引き上げを受け、1000人未満の企業の72%が自社の雇用率目標を見直しへ


「今回の法定雇用率引き上げの発表を受けて、自社の雇用率の目標を見直す予定はありますか。」という質問に対して、1000人未満の企業の72%が『見直した』『見直す予定である』と回答。雇用率目標の見直しを迫られている。

一方、従業員数1000人以上の企業は発表前から自社の雇用率目標を高く設定していたと思われ、『見直す予定はない』という企業が最も多かった。また、障害者雇用の社員への啓蒙や、相談窓口の設置など、職場定着を見据えた取り組みを検討している傾向が見られる。

7割の企業が、障害者雇用制度を「良い制度だと思う」と回答


「障害者雇用率制度(法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務を課す制度)について、 どのような印象をお持ちですか。」という質問に対して、『良い制度だと思う』との回答は全体の約7割を占めた。企業規模に関わらず、肯定的に捉えている企業が多い。

<フリーコメント抜粋>
良い制度だと思う
・企業に対し、一定数の障害者の雇用を義務付けることは必要。ただし、比較的軽度の障害者を取り合うような状況もあり、何らかの改善が必要だと思う。
・いずれこのような法律がなくなり、障害の有無にかかわらず適した職場で働ける社会になることが理想だが、現段階では意識付けのために必要だと思う。義務で採用したとしても、ともに働く中で職場環境などが改善され、次の雇用に結びつくケースは少なくないと考える。
・障害者ご自身の成長と共に職場の従業員が介助や配慮をしながら助け合うことの助成となるため。
・障害者だからという理由でなく、良い人を採用したい。(障害の有無に関係なく優秀な人材はたくさんいる)
・日本では身体⇒知的、そして精神・発達といまだ変遷の過渡期であり、法的縛りのある制度は必要と考える。ただし、先進的な企業であるほど単に雇用率達成を掲げるだけでなく、企業の中で障害者が戦力になる環境づくりにシフトしてきていると思われる。

良い制度だとは思わない
・良い制度だとは思うが、中小企業にとっては業務の設計などが難しい。
・受け皿ができていないなかで無理に雇用することになり、障害者及び会社、社員にとっても良くない。
・本来の趣旨はとても良いと思うが、雇用率充足のためにおよそ新規事業とも言えないような雇用創出を行なうことは本末転倒だと思う。障害者の社会参加や満足感などが置き去りになっているのではないか。
・目標を定めて取り組むことは必要ではあるが、数合わせの採用が進み、障害者の過度な売り手市場が加速して、健全な選考が行われない懸念があるため。


<障害者総合研究所 所長 中山伸大からのコメント>

従業員数 1000人以上の企業では、83%が2018年4月1日時点で2.2%の法定雇用率を「達成できると思う」と回答していることからも、障害者雇用について、ある程度計画どおりに進められていることが推測されます。
対照的に1000人未満の企業では、2018年時点の2.2%を「達成できると思わない」とする企業が44%に上ることから、対応が追いついていない印象を受けます。自社の雇用率の目標について、見直しを検討している企業が多いことからも、法定雇用率引き上げの発表を受けて、今後の取り組みを考える必要に迫られていることが明らかになりました。
また、「これから新たに取り組みを検討していること」についても、企業規模による違いが見られます。1000人以上の企業は「社内の相談窓口や専任の担当者設置など、雇用管理体制の見直し」や「障害者雇用に関する社員への啓蒙」という取り組みが1000人未満の企業と比較して多く、障害者を採用するだけではなく、障害者の職場定着に向けた取り組みを重視していることが分かります。前回の法定雇用率の引き上げの際には、準備が不十分な中、採用数ばかりに注力した結果、採用後に問題が表出し、雇用継続が難しくなるケースが散見されました。今回の法改正に伴い、これからは精神障害者の雇用促進が法定雇用率達成の鍵となることからも、今まで以上に採用だけではなく、その先の職場定着や能力発揮に向けた取り組みについても検討していく必要があるでしょう。
このように、1000人以上の企業は1000人未満の企業と比較し、先行した取り組みをしていると言えますが、1000人未満の企業では障害者雇用の専任担当を設置することが難しいなど、1000人以上の企業と同じ取り組みをすることが難しい場合があると思います。近年、障害者の支援機関を活用しながら障害者雇用を進める成功事例が増えてきました。支援機関の保有するアセスメント情報を参考にして採用することでミスマッチのリスクを減らすこともでき、採用後も職場定着に向けた中立的な支援を受けられることから、問題の早期解決が見込めます。社内で十分な人的リソースを活用できない1000人未満の企業こそ、外部機関の活用が有効だと考えます。


※本調査結果の引用の際は、「株式会社ゼネラルパートナーズ 障害者総合研究所調べ」とクレジットを明記ください


≪株式会社ゼネラルパートナーズについて≫
障害者専門の人材紹介会社として、2003年に創業。その後、「就職・転職サイト」「障害別の教育・研修事業」「就労困難な障害者による農業生産事業」など、幅広い事業を展開している。2016年10月には障害者アスリートなど、支援の対象もさらに広げており、これまで就職や転職を実現した障害者の数は5000人以上に及ぶ。「誰もが自分らしくワクワクする人生」というビジョンのもと、今後は障害者に限らず、不登校、ひきこもり、LGBTなど様々な不自由を抱える方々のサポートへ、ビジネスの領域を広げていく。
会社名 :株式会社ゼネラルパートナーズ
本社所在地 :〒104-0031 東京都中央区京橋2-4-12 京橋第一生命ビル3F
代表者 :代表取締役社長 進藤 均
設立日    :2003年 4月
URL :http://www.generalpartners.co.jp/
業務内容 :障害者専門の人材紹介事業、求人情報事業、教育・研修事業、農業生産事業、調査・研究機関 など