AEROPRES

2013年10月10日 12時21分

市販薬乱用も危険!ネット販売の安全確保は? 薬局・薬店登録販売者対象に薬物乱用実態を講演

日本薬物対策協会は9月28日から3日間、薬局・薬店の登録販売者対象の講習会に招かれ、東京・文京区内にて、一般用医薬品販売の際に求められる倫理や理念等に関連して、薬物乱用の実態を講演した。
一般用医薬品(OTC薬、いわゆる市販薬)のインターネット上での販売について、先月厚生労働省が集めた作業グループが安全性を確保するためのルール作りの大筋を決め、今秋にも薬事法の改正案が国会に提出されるとみられている。

利便性や価格の安さの追求など消費者にとっての利点が強調されている一方、一般用医薬品とはいえ、薬物乱用や依存、命にかかわる危険性が潜んでいることが充分議論されているとは言い難い。例えば10代にとっては手軽に入手し易いであろう一般用医薬品。日本中毒情報センターの実態調査によると、10歳代の自殺企図・自傷行為による急性中毒事例が増加傾向にある中、一般用医薬品を用いる事例が目立つと言われている。その中でも、解熱鎮痛薬、かぜ薬、催眠鎮静薬の三つでほぼ八割が占められ、例えばかぜ薬では100錠以上の摂取も多いと報告されている。(薬事日報:2012年9月7日掲載)販売側がネット販売で最善のルールを実施したとしても、虚偽の情報での購入や複数サイトにおける同一市販薬の大量購入に関しては、太刀打ちできない状況だ。つまり、対面販売では可能である消費者への注意も、ネット販売となると限界があり、事実上消費者自身の責任の範囲に委ねられてしまう。

そのような中、日本薬物対策協会は9月28日から3日間、薬局・薬店の登録販売者(一般用医薬品の第二類・第三類の販売資格を有する医薬関係者)対象の講習会に招かれ、東京・文京区内にて、販売の際に求められる倫理や理念等に関連して、薬物乱用の実態を講演した。(主催:東京都医薬品登録販売者協会 全日本医薬品登録販売者協会、後援:厚生労働省)

講演では、当協会世話役の馬崎より「薬物乱用とその問題について」と題し、市販薬の乱用事例や処方薬乱用の実態の具体例を織り交ぜながら、大麻、覚せい剤、MDMA、「脱法(違法)ドラッグ」などの有害性が分かりやすく説明された。

講演の中では、市販薬の乱用事例として、現在40歳の男性が、手軽に入手できる乱用対象の薬物として16歳の時から咳止め薬(第二類医薬品)のオーバードースを繰り返し、激しい禁断症状を体験し、社会復帰が困難になっている例や、50代の女性が睡眠改善薬依存に陥り、最終的には万引きしてしまった実例が挙げられ、市販薬といえども違法薬物同様に、依存や中毒、オーバードースの対象となってしまう危険性が訴えられた。そして販売側には、購入の行為そのものに対して適切に対応することはもちろん、消費者に対して薬物乱用あるいは依存の情報を伝えたりして啓発する必要が強調された。

参加した薬局・薬店勤務の登録販売者からは、「OTC(医薬品)でも、大量に購入していく方がいたら、積極的にコミュニケーションを取った方が良いと思いました」「具体例があったので納得できる内容で勉強になりました」などという感想があった。

インターネット上の一般用医薬品販売が現状解禁となっている中、市販薬乱用や依存の実態を販売者や消費者側にも充分理解していただき、乱用者を増加させないための対策や啓発・教育の強化が一層重要となってくる。今後の関連する薬事法改正や省令についてもこの点が充分考慮されるべきだ。

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日本薬物対策協会は、米国に本部を置く非営利団体、薬物のない世界のための財団の日本支部であり、2008年より首都圏を中心とした学校や地域にて薬物乱用防止講演を提供し、これまで4万人以上の生徒や保護者、教育者などへ薬物の真実に関する情報をもたらしてきました。

リリースについての問い合わせ先:日本薬物対策協会 馬崎奈央
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